「ひーエッセイ」 バックナンバー

 

 

   

----------------------------------------------------------------------
目からうろこがぼとりと落ちる
     ★★ひーエッセイ★★     2003/05/20 発行
----------------------------------------------------------------------
第88巻 「パソコン騒動(下)―さよならNX―」
----------------------------------------------------------------------


 この3月に新しいパソコンを購入するまで大活躍してくれていたのは、NEC製Valuestar NXシリーズのデスクトップパソコンである。購入してもうすぐ4年、OSはWindows98である。
 2度ほどCD−ROMドライブの調子が悪くなった時があったものの、きわめて素直に故障もせず、せっせと働いてくれていた。

 だが、パソコンの移り変わりは異常に早い。
 OSが変化すると、それに伴ってソフトもバージョンアップする。ソフトがバージョンアップすると、パソコンへの負荷がどんどん増える。
 私のNXもご多分に漏れず、だんだん調子が悪くなってきていた。スイッチを入れて実際に使えるようになるまで、恐ろしいくらい時間がかかるのだ。

 フリーズの回数も徐々に増え始め、最近では仕事にも多少差し支えが出てきていた。
 最近では、新しく購入したパソコンをメインとして使い、NXは主にメール送受信用パソコンとして使用していた。使用しないソフトは、どんどんアンインストールした。

 だが、デフラグ処理をすると6時間経過しても終了しない。

 一度リストア(パソコンを出荷時の状態に戻す)プログラムを実行させないといけないな、とずっと思っていた。
 でもこの作業、非常にめんどうである。なので、ずっと先延ばしにしていた。

 先々週の週明けのことである。
 朝、いつものようにNXの電源を入れた。すると、起動時にエラーが発生した。画面を見ると、「○×ファイルが足りません」というメッセージが画面に映し出されている。

 これまでにもこういう類のエラーが出たことは何度もある。大して気にもせず再起動をかけたら、今度は正常に起動した。

 お昼にいったんパソコンを終了させ、昼食後に再びパソコンを立ち上げた。すると、またエラーが発生したのだ。

・・・あれ?・・・

 1日に2回も起動時エラーが出現したことなど、今までかつてなかったことである。
 不安を抱きながら再起動をかけると、今度は違うエラーメッセージが出て正常に起動しない。

・・・あれあれ?・・・

 それ以降、起動するたびにエラーが発生するようになった。1度で正常に起動することは皆無となった。
 だんだん恐ろしくなってきた私は、パソコンの電源を切る前に必ずデータのバックアップをとるようにした。

 そして先々週の土曜日のことである。
 この日のエラーは尋常な数ではなかった。正常起動までに10数回の再起動を繰り返さなければならなかったのだ。

 出現するエラーメッセージも、様々である。

 ある時は、「○×ファイルが足らないから起動処理ができない」という画面がいくつもいくつも出現する。

 ある時は、パソコンハングアップ時におなじみの真っ青な画面が出現する。
 強制終了の直後に再起動させると、正しい方法で再起動するようにという「指導」画面が出現する。
 誰も好きこのんで、強制終了させてないっちゅうねん。

 画面が白くなって点滅したりすることもあった。
「値が異常なので、再起動します」と勝手に再起動処理に入る時もあった。

 ここまで様々なエラーを見せて頂くと、いらいらを通り越して笑うしかない。

 とにかく、今まで先延ばしにしていたリストアプログラムを実行せざるを得ない状況になってしまったのである。

 リストアプログラムを実行すると、パソコンに保存されたデータが全て消去されてから工場出荷状態に戻される。ここまでに約1時間。
 その後、OSのバージョンアップも必要だし、それまで使っていたソフトは全て再インストールする必要がある。
 なんだかんだで、パソコン内部清掃&復旧作業は1日仕事となるのである。

 さて私のNXで実行させたリストアプログラムは、無事に終了した。
 そこでまず、Window98 Second Editionにアップデートしようと思い、CDをセットした。

 画面の指示に従って作業していると、何の前触れもなく、エラーが発生した。例の「真っ青な画面」出現である。
 以前このプログラムを実行させた時には、全く問題なく正常終了したはずなのに…。

 目の前の画面は真っ青、私の頭の中は真っ白け。

 スキャンディスクを実行させると、私を馬鹿にするかの如く、エラーが頻発する。このまま作業を続行することは、不可能だ。
 画面を見ながらしばらく悩んだが、思い切ってもう一度リストアプログラムを実行させることにしたのである。

 2度目のリストア後、今度は「マイクロソフトオフィス」を先にインストールすることにした。
 すると画面に、こんなメッセージが表示されたのである。

「インストールに必要なファイルが見あたりません」

 あなたは何が不満なの? 私のことが嫌いになったの? この4年、ずっと一緒にいたのに。

 そのまま強引に作業を進めてはみたものの、途中でCD−ROMの中身を参照できなくなったりして、結局インストールは成功しなかった。

 私には何がなんだかわからなくなった。

 なぜこんなにエラーが頻発するだろうか?
 私の作業方法が、間違っているのだろうか?
 私のNXが、寿命を迎えたのだろうか?

 昼下がりにパソコンの前に座ってから、6時間以上が経過していた。

 週明け、私は第50巻「ぼん、ぼん、ばあっ」に登場した雑学大王Nちゃんに連絡をとった。
 私はNちゃんを、パソコンの師匠としても尊敬申し上げている。

 興奮状態の私の話を、質問を挟みながら聞いてくれていたNちゃんは、無情な決断を下した。

「95%、HDD(ハードディスク)がやられてるなぁ。HDDは消耗品やから。リストアプログラムかって完全には実行されてないんやで、たぶん。そやから『ファイルがない』とかっていうエラーが出るんとちゃう?」
「んじゃあ、もう1回リストアしても無駄ってこと?」
「たぶんな」
「それやったら、私の土曜日の6時間は、いったい何やってんな!」
「そんなん、知らんがな」

 私が頭を抱えていると、Nちゃんはこんなことを言い出した。

「なぁ、あんたのNX、もう使わへんのやったら、くれへん?」
「え、どうするん?」
「ハードディスクなんて安くで売ってるし、だめもとで買って交換してみようかな。もし動いたら、会社で使うねん」

 ちなみにNちゃんの会社のパソコンは、Window95。動作も遅いらしい。
 零細企業に勤務するNちゃん、この不景気で会社のパソコンが更新される予定は全くないのである。

「ハードディスクを交換してまで、このパソコンを使おうとも思わへんし、第一いつまで使えるかもわからへん。役立ててもらえるんやったら、かまへんよ」
「よし、商談成立!」

 パソコンよろず相談スタートから商談成立まで、わずか数時間。
 先日私のNXは、あっという間にNちゃんのもとに旅立っていったのである。

 それにしても、こう立て続けにパソコンと別れを告げると、パソコンっていったい何だろうと思いたくなる。
 最低でも10数万円という金額である。決して安い買い物ではない。なのに、購入してわずか数年でさよならである。

 パソコン内部に地雷が埋め込まれているのではないかと、疑いたくなる。

 4年間苦楽を共にしてきた、私と私のNX。様々な文書やメールが、このNXから発信された。
 だからこそ、Nちゃんの許で私のNXが無事復活してくれればいいなと、密かに願っている私なのであった。

 さよならNX、がんばれNX。