「ひーエッセイ」 バックナンバー

 

 

   

<ひーエッセイ 第32巻 ★★通販生活★★>
発行日:'02/02/19(Tue)


 以前、テレショップのことを書いたことがあるが(第22巻 「テレショップで日本が見える」を参照下さい)、私はカタログ通販も好きだ。テレショップは利用したことがないが、カタログ通販は大いに利用・活用している。

 カタログ通販にはまったのは、確か社会人になってすぐの頃だ。

 当時私は、システム会社に勤務していた。私は非常に出来の悪い新入社員で、なかなか仕事をさせてもらえず、勉強をしたり、上司の話し相手になったりする日々を過ごしていた。

 それでも忙しくなると、こんな私にも簡単な仕事が回ってきたりする。折しも、世の中はバブルまっただ中。仕事が途切れるなんてことは、考えられなかった時代だ。
 でも、どんな簡単な仕事でも私は人の倍以上かかった。ミスも多く、プログラム仕様書の読み間違いや勘違いなどは、しょっちゅうだった。

 そんなこんなで、当時はものすごく残業が多かった。忙しい時期には、会社を出るのが9時や10時ということも、ざらだった。
 しんどいので休みの日には、とにかくよく寝ていた。昼過ぎまで寝ることもしょっちゅうだった。寝過ぎて気分が悪くなり、また寝るなんてこともあった。

 休みの日に、わざわざ買い物に行こうというような気力は、私にはなかった。大阪市内に勤めていたので、会社の帰りに買い物をするというのが、関の山だった。

 勤務先の先輩には、買い物が趣味という人が多かった。
 デザイナーズブランドの洋服で出勤してくる人もいたし、毎年海外へスキーに行くという人もいた。エルメスの時計のバンドには「H」のマークが入っているということも、先輩の時計を見せてもらって初めて知った。

 あの当時は、ショッピング(特に洋服関係)自体に興味がなかったような気がする。
 ブティックなどというところは、特に苦手で、マヌカンさん(一時、こういう言い方、流行りましたよね。夜霧のハウスマヌカン♪っていう歌もあったりして)に話しかけられでもしたら、悪いことをしたわけでもないのに、逃げるように店を出てしまっていた。

 何よりも、特別気合いを入れて買い物をする必要もなかったのだ。なぜなら、当時私の洋服は、すべて母が調達していたから。

 ショッピングには興味がなくても、私は「物」には非常に興味があった。
 カタログだと、家で寝転がりながらでも、いろいろな物をたくさん見ることができる。購買意欲もそそられる。
「カタログを無料で差し上げます」という広告を見ると、ついつい申し込んでしまっていた。

 当時は、本当にたくさんのカタログ通販会社があった。多い時には、10種類近くのカタログが、我が家の机の上に積まれていたこともあっ
た。

 取り寄せたカタログをじっくり眺め、私はいろいろな物を購入していった。届いた商品を見て、「あ、ここの商品は今ひとつやな」と思った会社からは、二度と買わないようにした。
 そういうことを繰り返していくうちに、商品に対する目が次第に養われていった。同じ商品が違うカタログに掲載されていることもあるので、値段等の比較もするようになった。

 ショッピングの楽しさに、徐々に私は目覚めていったのだろう。

 外出を億劫がっていた私が、同じような物が近くのデパートやスーパーで売っていないかと、チェックしに出かけるようにもなった。
 母が亡くなって、自分で洋服の調達をしなければならなくなってから、ブティックにも足を踏み入れた。

 そして、バブルが崩壊した。どんどん景気が悪くなっていき、それにつれて届くカタログの数もどんどん減っていった。
 幸運なことに、私が利用していたカタログ通販会社は、全て生き残っている。業績を伸ばしている会社もある。
 バブル時代に、私は通販で、物を見る目を養うことができたのだ。ついでに、通販会社を見抜く目も。

 今までに、本当にいろいろな物を購入した。
 下着に洋服に鞄、電化製品にCDに時計に健康食品、台所用品や各種雑貨品、羽毛布団も通販での買い物だ。

 化粧品も通販で購入している。
 母の勤務先の同僚が、この化粧品会社の販売レディさんをしていた関係で、母がこの人から化粧品を買っていたのが、もともとのきっかけである。
 母が亡くなった後は、私自身が販売レディになった。そうした方が、安く購入できるということがわかったからだ。そして現在も、私はこの会社の化粧品を使い続けている。

 この化粧品会社は外資系だ。最初は価格も高かった。外資系にはありがちなのだが、自国の販売方式を押しつけるような所も見受けられた。
 だけど安売りをする化粧品屋さんが登場した頃から、徐々に値段が下がっていった。販売の仕方にも工夫が見られるようになり、購入方法も次第に便利になっていった。
 ちなみに、安売り化粧品屋でこのメーカーの化粧品は、売られていない。

 しばらくの間注文をしないと、地域の販売レディのリーダーさんから、「最近注文がないみたいやけど・・・」という、ご用聞きみたいな電話がかかってくる。
 他の化粧品会社に浮気をせずに、長期間買い続けているので、彼女のノルマの1部に、私の売上がしっかり入っているみたいだ。

 シュレッダーも通販で購入した。これには、忘れられないエピソードがある。

 私の住んでいる地域では、ゴミは4分別で出すことになっている。内訳は、可燃ゴミ・不燃ゴミ・リサイクルゴミ(ビン、缶、古紙など)・大型可燃ゴミ(ふとんやたんすなど)である。
 普通のゴミは週2回、リサイクルゴミは月に2回の回収だが、不燃ゴミと大型可燃ゴミは、月に1度の回収である。

 ある時、不要になった枕を捨てようと思った。ちょっと特殊な枕だったので、不燃ゴミの日に捨てなければならなかった。だけどその日までには、かなり間があった。
 燃やして燃えない物じゃないので、私は大きい黒いごみ袋にその枕を入れ、回りに書類等を入れて枕だとわからないように偽装工作して、普通ゴミの日に出した。そしてそのまま、勤務先に向かった。

 その夜、家に戻った私を出迎えてくれたのは、その枕入りごみ袋だった。門の前に、私が朝出した枕入りのごみ袋が置かれていたのだ。

 ゴミ出しのルール違反をしたのは、私である。その結果、そのゴミが収集場所に置き去りにされるのは、仕方がないことである。私も一か八かで出したのだから。
 ただ私がぞっとしたのは、そのゴミが、我が家まで正確に戻ってきたことに対してである。

 決められたゴミ収集場には、2〜30軒のゴミが集まってくる。どこの家のゴミかを知るためには、中味を見なければならない。ゴミ回収のおじさんは、そんなことは絶対にしない。ということは、ゴミの中味をチェックして、我が家の前まで運んだ人がいるということなのだ。

 ゴミの中味を見ることに、何のためらいもないような人が、近所にいるということが恐ろしかった。
 そんなことがあった直後に見たカタログに、クロスカット方式のシュレッダーを見つけ、飛びつくように購入したのだ。

 わざわざお金を払って読んでいる通販雑誌もある。私はこの雑誌と、10年以上のつきあいがある。

 このカタログでは、いつ頃からか、環境問題に徹底的にこだわった商品のみを紹介するようになった。その徹底ぶりに、私は惹かれている。
 他の通販会社よりも、価格がかなり高めというのが、難点なのだが。

 「10年日記」もそのうちのひとつだ。
 現在では書店などで、年末かなり出回っているが、10年前に私が初めて買った頃には、店頭では見かけたことがなかった。今年めでたく、2冊目の10年日記に突入した。

 5年以上前に購入した「タオルウォーマー」も、我が家の洗面所で活躍中だ。
 湯上がりタオルなどを暖めたり乾かしたりできるものだが、これを置いている洗面所全体もふんわりと暖かくなる。特に冬はとても重宝している。

 「明礬の花」という入浴剤も時々購入する。これを入れると、お風呂の湯がとても柔らかくなる。無色無臭で、皮膚にもやさしい。
 去年は、実印と銀行印も買った。

 私がカタログ通販にはまり始めた頃は、この業界も今とは違ってまだ発展途上だった。融通のきかないことも多かったし、今では当たり前のフリーダイヤル・年中無休・24時間注文受付・配達日指定サービスなどのシステムは、まだ確立されてはいなかった。

 バブルがはじけてからは、この業界も少数激戦となった。いい加減な商品を販売したり、きめ細かい対応ができない所は、生き残れなくなった。
 もしかしたら、カタログ通販の利用を始めるなら、今がチャンスかもしれない。

 お気に入りの会社を見つけたら、その会社と長期に渡って付き合うことだ。そうすれば、他社の販売価格よりも安くで買えることもあるし、送料サービスの恩恵も受けられることもある。
 「通販の極意」と言っても、過言ではない。

 カタログ通販利用歴15年余り、私は通販生活を結構楽しんでいる。