「ひーエッセイ」 バックナンバー

 

 

   

<ひーエッセイ 第4巻 ★★肩身の狭い原チャリ★★>
発行日 '01/07/23(Mon)


 消費税が3%から5%に上がる直前、私は意を決して原チャリ(原動機付ちゃりんこ)を購入した。最初の頃は、重くて動かすこともできなかった。バイクを押して歩く時に、うっかりアクセルを回してしまい、バイクに引きずられてフェンスに激突したこともあった。が、購入から3年以上たった今はすっかり扱いにも慣れ、私は「原チャリドライバー」としての地位を不動のものにした。

 車のドライバーから、「原チャリは怖い」とよく言われる。

 無茶な運転をする人も多いからだと思うが、原チャリが怖いと言われる大きな理由の1つに、ミラーを全く見ずにバイクを運転している人がいるということが上げられると思う。
 車の免許を持っている人は、教習所などでミラーの確認を口うるさく教官に指摘される。でも、特に原チャリだけの免許を持つ人たちは、ミラーを見る習慣がない人が多い。なぜなら、それまで使っていたであろう自転車にはミラーはついていないから。自転車に乗っているときと同じ感覚で、ひたすら前を向いて走る。そういう人は、車が自分をよけてくれると思い込んでいるのである。

 ただ、原チャリを運転している方にとっても、恐ろしい人や物が存在する。

 一番怖いのが、それまで歩道を走っていたのに、「吉本新喜劇オープニングテーマ曲」をBGMにして、突然車道に飛び出してくる自転車である。彼等はほんとに文字通り「ふらふらと」飛び出してくるのである。この「ふらふら族」の構成員割合は、浪速のおばちゃん20%、年配の方60%、そして中高校生20%といったところだろうか。

 私も一度その「ふらふら族」被害に遭ってよけそこねて、国道でひっくりかえったことがある。道がすいていたので助かったが、後ろから車が来ていたらと思うと、今でもぞっとする。でも当の「ふらふら族(男子高校生だった)」は、私がこけたことにも気付かず、ふらふらと行ってしまった。

 それと同じくらい怖いのが、方向指示器を出さない車である。
「この車は、まっすぐ行くんだな」と思って発進した瞬間に、左折専用レーンでもないのに突然左折される時の怖いこと。この手の車は、結構多い。

 あと、妙に左端を走る車も怖い。教習所なんかでは「キープ・レフト」と学ぶけれど、車線の中央よりを走ってもらわないと、広めの国道はまだしも、狭いところだと原チャリは通れない。また路上駐車にも泣かされる。

 考えてみれば原チャリっていうのは、「原動機付自転車」と呼ばれる通り、「ちゅーとはんぱな」存在やなと思う。車でもなければ、自転車でもない。「自転車」と名前はついているけど、自転車専用道路は走れないし、車道に出ると車の邪魔にされる。車からも自転車からも歩行者からも「危ない乗り物」にされている。

 原チャリドライバーって、何て肩身が狭いんだろう・・・。

 それに、車や自転車や歩行者のことを考えた道路はあるけれど、原チャリのことを考えた道路なんて皆無である。車だと大丈夫だけれど、原チャリだとすっ転びそうになるような状態の道路(例えば、アスファルトが陥没したり盛り上がったりした道路)がいくつあるか!
 掘り返した後、もっと上手に舗装してくれ! もっと路肩を補修してくれ!

 こんな中途半端な存在である原チャリを、私は結構真面目に必死で運転している。

 万一こけて車にひかれでもしたら、即死である。ほんの1秒だけでも発進が遅れようものなら、威嚇するように車のクラクションが響き渡る。強風が吹くとバイクごと流されそうになる。大阪の歩行者は「車が来てなきゃ青信号、渡りたい所が横断歩道」と体で覚えているので、飛び出しなんてしょっちゅう。

 原チャリ運転中は、とにかくスリルとサスペンスが背中合わせ状態なのである。

 夏はヘルメットをかぶるので、汗で頭はぐちゃぐちゃ。化粧はげはげ。腕はすぐ日焼けする。冬は寒いので、ころころに着込んで、まるで熊のよう。べっぴんが台無しである。

 こう書いてくると、いいとこなしの原チャリ。でも私は原チャリが結構好きである。小回りもきくし、維持費もそんなにかからない。何よりも、走っていると風を感じられて気持ちがいい。乗り方さえきちんとすれば、道幅の狭い道路が多い日本では、車よりも適した乗り物ではないかと私は思っている。

 友人達の「こけたら死ぬで」という脅しにもめげず、私は今日も原チャリに乗っている。
「暑い」だの「怖い」だのという独り言と、モーニング娘。の歌を交互に口ずさみながら。