コアすぎる、話

 

   


Vol-01 「愛の嵐」

 その13 側近たち

 ドラマの後半、猛と大河原は商売敵として激しく対立する。そんな2人を支える側近たちが、双方とも2人ずついた。

 この側近達も、それぞれ個性があった。

 まずは
石川さんである。彼は大河原の側近として、戦前から仕えていた。大河原より年上に見えるおっちゃんである。側近なので、雑用も多い。

 ある時、大河原がひかるちゃんへ有名な日本人形をプレゼントしようとしたのだが、手作り品なので時間がかかるという報告を、石川さんから受けた。それを聞いた大河原は
「金を積め。金があれば、なんとかなる。絶対に手に入れろ」
 その時の石川さんの、くしゃっとした顔・・・印象的だった。

 戦後、石川さんと共に大河原を支えたのは、
稲垣さんである。石川さんより若くて、フットワークが軽そうだった。眼光も鋭かったので、探偵にも見える。
 そのせいか、ドラマ後半に三枝家が猛の元に渡ったときも、その前の話し合いの席でも、付き添っていたのは彼だった。

 猛には、戦争がきっかけで知り合った側近がいた。
 捕虜収容所時代、猛が体を張って助けたことがきっかけで行動を共にするようになる、
章次さんがその1人である。
 彼は戦争で、両親とも亡くしている。

 東京で猛が経営していたバー「赤と黒」で、ひかるちゃんと章次さんが語り合うシーンがある。
 帰国が決まり酒を飲んで酔っぱらった時に、猛が一度だけ言ったセリフを、章次さんはひかるに伝える。

「『自分のすべてだった女性』のために、生き残ったんだ。
でも、生き残らなければよかった」


 ひかるが思った通りの人だったと、章次さんは喜び、心を許す。
 そんな彼は、秀子と結婚することになった猛を激しく責める。彼が猛にはむかったのは、後にも先にもこれが最初で最後だった。

 そんな彼も、猛の身代わりの様な形で重傷を負う。

 彼と入れ替わりに現れたのが、
平野さんである。
 戦争中、猛の上官だった彼は、猛の頭の良さを高く買っていた。有名大学の法学部出身で、知略にもさえていた。
 この平野さんのおかげで、猛は大河原から三枝家をただ同然で奪い返すことができたのである。

 だが彼も、猛と秀子の結婚には否定的だった。

「そんなにひかるさんが好きなら、なぜ秀子さんと別れないんだ。貴様のやっていることは、間違っている」と、一喝もした。
 ドラマ終盤、猛をサポートする大人の男性である。

 大河原と猛、2人の個性に合わせた4人の側近たち。特に猛の側近は、戦争という大きな影を背負った人たちである。
 この「戦争」をはずすことなく、周辺の人たちをも丁寧に描いているのが、このドラマだったのだ。

('02/11/13)