コアすぎる、話

 

   


Vol-01 「愛の嵐」

 その7 山寺の和尚さん

 これまでにもちょこちょこと書いてはいたが、実は私、前作の内田朝雄さん演じる和尚さんが、大好きだった。

 猛が最初に和尚さんに会ったとき「この生臭坊主!」と憎まれ口をたたくシーンがあったと思うが、この「生臭坊主」に近いのは、キンキン和尚ではなく内田和尚だと、私は個人的に思う。

 今回のドラマでは和尚さんはあまり登場しないが、前作での和尚さんはドラマの中でかなり重要な位置を占めていた。今回のキンキン和尚には「山海和尚」という名前があるけれど、内田和尚には名前はなかった。
 寺の名前は、「こうみょうじ」だったのだが、とにかくこの寺、三枝家の集会所兼悩み相談所だった。

 伝右衛門は、しょっちゅう寺で和尚さんと碁を打っていた。そして2人で酒を飲み、酔っぱらいながら腹を割って話をする。
 絹さんも一度家を飛び出したことがあるのだが、行くところがなく、結局寺で和尚さんと話をして、心を落ち着かせる。

 文彦ぼっちゃまの言動に悩む伝右衛門と絹を、後ろからサポートし、時には主導権を握って、彼を更生させようともしていた。

 伝右衛門の木刀をめぐって、学校の成績競争を猛と文彦が繰り広げた時、成績がとてもよかったと喜び勇んで報告に来た猛に、和尚さんは「負けるが勝ちということも、あるんじゃぞ」と言い、猛に冷静になるよう諭す。

 灌漑工事の最中にあらぬ疑いをかけられた猛は、「もう村を出る」と和尚さんにうち明ける。それを聞いた和尚さんは、「世話になった三枝の家を、後ろ足で砂を掛けるようにして出ていくのか」と、たしなめる。
「倒れても倒れても、また立ち上がって向かっていく、そんなお前が愛おしゅうてならんのじゃ」と、猛に訴える。

 大河原との結婚が決まったひかるは、寺を訪れ、和尚さんの前で泣き崩れる。和尚さんは肩を抱き、「つらいのう。わしにもどうしてやることもできんのじゃ。つらいときにはここに来なさい」と言って励ます。
 このシーンを見ると、私はついうるうるしてしまう。

 猛とひかるの仲を、誰よりも早くから大きな愛で見つめていたのが、この和尚さんだったのだ。
 幼い日、木につるされた猛をひかるが助けるシーンがあったけれど、前作ではその2人の様子を、和尚さんがじっと見つめるシーンがあった。
 今回そのシーンがなかったことが、和尚さんのスタンスの違いを表していたように思うが、個人的にはとても残念である。

('02/08/20)