めざせ!ハンドレッドセラーエッセイスト

 

 

   

チョキドリームズ向けコラム「教育を考える」

テーマ 「いじめ・生きるということ」

15.生きるチカラ(2004年4月執筆)

私には、Mさんという漫画家の友人がいる。ご主人の転勤で数年前に大阪から東京に転居したことをきっかけに更に活躍の場が広がり、今や数本の連載を抱えている。それと同時に、主婦・2人の子供(幼稚園児と1歳児)の母親・素の自分をパズルのように組み合わせて時間を作り出している彼女は、私にとって目標とするべき人でもある。

ところで、幼稚園児を持つ母親同士のつきあい方は、他の年代の子供を持つ母親同士のそれよりもかなり濃密らしい。情報交換を兼ねた食事会などが頻繁に開催されているとのことだ。表向きは専業主婦に見えるが、漫画家という違う顔を持ち、自宅で締め切りと必死で戦っているというMさんの姿は、周りの主婦仲間たちに様々な影響力を与えているらしい。

「Mさんみたいに自分で稼いだお金で親や子供に何か買ってあげたいから」パートで働きに出始めた人、「Mさんが自分の働いたお金で子供のモノを買ってるって言ってるのを聞いて、子育てが一段落したら働こうと思う」とおっしゃる人、「赤ちゃんがいて幼稚園の子もいる、自分より大変な環境にいるママが目の前で働いてるのを見たら、なんか考え込んじゃって・・・・」とつぶやく人。

そんな彼女たちは、全員専業主婦。そして彼女たちの母親も、揃って専業主婦。自分の周りにMさんのような働き方をしている人がいなかったのだ。でもMさんは彼女たちのことを「きちんと家事をこなして、家も綺麗にして、いいお母さん。私にはそこまで完璧にできない」と言う。

他人とのつきあいは、自分の生き方を見直すきっかけや、時に人生を変えるほどの影響力をもたらす。Mさんの姿は、少なくとも3人の生き方に影響を与え、Mさんは3人の姿から自分とは違う価値観を知ったのだ。

個人の生きる力が、他人の生きる力を育てる。教育の原点は、もしかしたらここにあるのかもしれない。