めざせ!ハンドレッドセラーエッセイスト

 

 

   

チョキドリームズ向けコラム「教育を考える」

テーマ 「いじめ・生きるということ」

14.あぁ、「とりあえず」(2004年4月執筆)

携帯電話を通じてエントリーすれば簡単にバイトを見つけることができると宣伝しているテレビCMを、最近よく見かける。彼女の誕生日が近づいたけれど財布の中身が少ない彼、携帯電話でその会社のホームページにアクセスしてバイトを見つけ、「とりあえず」仕事をこなして彼女のバースデープレゼントを無事ゲットする、という内容のこのCMを見ると、私は何だか暗澹たる気分になる。

手間をかけずに頭数を揃え「とりあえず」仕事をさせる企業。日当を払えば、それでおしまい。そこには人材を育てようなどという考えはない。人の使い捨てである。
そしてその気軽さを利用する若い人たち。「とりあえず」お金がほしい。ちょっと暇だから「とりあえず」気軽にバイトしたい。「とりあえず」を続けても、「とりあえず」生活ができる。責任を負うこともない。フリーターが増えるわけである。
そして双方の「とりあえず」をつなぐ企業。テレビCMを放送するには、莫大な資金が必要である。言い換えれば、それだけこの企業を利用している人が多いということである。

私は「人材」が、企業にとっての命綱であると思う。それなのにこんなCMがまかり通っているということは、人材を育てる気概を持った企業が減っているということだ。企業が自ら命を削っているのだ。あの空前のバブル時代は、それまで積み重ねてきた人材育成があったからこそ始まり、企業が人材育成を放棄した頃に終焉を迎えた。その結果、「とりあえず、とりあえず」と場つなぎ的な考えで世の中が回っている。なんて生産性のない時代。だから不景気は終わらないのだ。この「とりあえず」をやめない限り、昔のような好景気時代は二度と訪れないだろう。

たかがCMを見たくらいでこんなことを考えてしまう私って、「とりあえず」古くさい人間なんだろうな。