めざせ!ハンドレッドセラーエッセイスト

 

 

   

チョキドリームズ向けコラム「教育を考える」

テーマ 「いじめ・生きるということ」

13.どっちが子供?(2004年3月執筆)

小学校の教師を身内や知人に持つ友人が、よくこんなことを言う。
「特に小学校の教師って、四六時中、何十年もずっと子供しか周りにおらへんから、世間知らずで浮世離れしたとこもあるし、いくつになっても子供っぽい人が多いんやで」。

私は在宅で書類作成などの仕事をしているのだが、時々ある女性から仕事の依頼を受ける。仕事内容は「学年便り」の作成。彼女は小学校の教師で、この3月までの1年間、小学3年生の学級担任をしていた。

彼女はパソコンが大嫌いである。無料でパソコンを教えてもらえる制度もあるのだが、どうにも勉強する気にならないらしい。とりあえず自宅にパソコンはあるのだが、メールの送受信もおぼつかない。何よりも、肝心のプリンターがない。同僚教師に「パソコンができない」とも言えないまま、定期的に回ってくる「学年便り」の作成当番を引き受けている、なかなかとほほな人なのである。

彼女の手書き原稿をもとに作成していくのだが、要求は2点。1つは「字を大きく」、もう1つは「空いたスペースに『かわいらしいカット』を入れてほしい」というものだ。この「かわいらしい」という、彼女との基準の隔たりに私はいつも悩まされる。
「小学3年生ですから、まだまだ子供なんですよ。だからとにかく『かわいらしいカット』を入れて下さいね」

素材サイトから私が悩み抜いて拝借したカットを見た彼女、こんなことをおっしゃる時もある。
「これは、小学校5〜6年生くらいのちょっと大人っぽいものですね。こんなのじゃなく、もっと『かわいらしいカット』にして下さい」。

この仕事をするたびに、私は先の友人の言葉を思い出し、考え込む。小学3年生のみんながみんな、そんなに「かわいいもの好き」なのかなぁ。そんなに「子供」なのかなぁ。
一番子供なのは、もしかしたら「かわいらしいカット」にこだわっている彼女じゃないのかな。