めざせ!ハンドレッドセラーエッセイスト

 

 

   

チョキドリームズ向けコラム「教育を考える」

テーマ 「いじめ・生きるということ」

02.お母さんの背中(2003年10月執筆)

 今年の初夏、ネットで知り合ったMさんという女性から「プレーリードッグを飼いませんか」というメールを頂いた。Mさんの娘さんが学校帰りに土手で拾った、捨て犬ならぬ「捨てプレ」である。
 娘さんは飼いたがったのだが、結局Mさん宅では飼えないということで、この「捨てプレ(Mさん宅での愛称:ぷー)」の里親を探しておられたのだ。

 プレーリードッグというのは、可愛くて人なつっこい。けれどとにかく元気で運動大好き、かじるの大好きなのだそうだ。私も結局「かじり好き」という点が気になって辞退したのだが、きっと前の飼い主も手に負えなくなって捨ててしまったのだろう。

 Mさんの努力のかいあって、数日後とうとう里親さんが見つかった。
 里親は見つかったものの、ぷーの運搬方法が問題だった。なぜならMさんのお宅は関西、里親さんのお宅は愛媛県。車で運ぶにしても、遠すぎる。

 幸いなことに両家とも空港から比較的近い場所にあり、空輸すればその日のうちに里親さんに引き渡せることが判明。そこでMさんは、航空会社に空輸方法を問い合わせ、里親さんと打ち合わせて、ぷーの旅立ちの日を決めた。

 別れの日、ケージに干し草とおやつをどっさり入れ、Mさんは拾い主である娘さんと2人で空港へ行った。
 受付カウンターでぷーに「さよなら」をした娘さんの目には、涙があふれていたそうである。

 ペットを飼うということは、その生き物に対して最後まで責任を持つということ。それがたとえ、ぷーのようにかりそめの縁でも同じことなのだ。
 当然ながら食事、おやつ、空輸代等、ぷーにかかったもの全てがMさんの持ち出しである。本来なら、ぷーを捨てた飼い主が支払うべきものなのに。

 Mさんが示した、ぷーへの真摯な態度。娘さんはきっとMさんの背中から、何か大切なことを感じただろう。