「テレショップな日々」 バックナンバー

 

 

   

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ひーコラム  ☆★テレショップな日々★☆
                          発行日 2004/04/05
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Vol.007 耳障りな息継ぎ


 マイクの進歩には、すさまじいものがある。

 昔のマイクには、長いコードがついていた。幼い頃の私は、そのコードを器用に操りながら歌う歌手の姿にあこがれていた。一世を風靡したピンクレディだって、コード付きマイクであの激しいアクションをこなしていたのである。それも、2人である。ステージ上はコードだらけで、危険きわまりない。今考えれば、すごいことだ。

 音を拾う性能だって、昔は今よりもかなり劣っていたはずだ。昔の歌手たちは、口元からマイクから結構離して歌っていた。それなのに、マイクはしっかりと歌声だけを拾っていた。
 私の両親などは、マイクに口を近づけて歌う歌手を見ると、「この歌手は声量がないんや。下手くそなんや」とよく言っていた。

 今やすべてワイヤレスマイクとなり、長いコードがついているマイクなんてテレビでは全く見かけなくなった。また服の襟元などにつけるピンマイクの小さいこと。あんな小さなマイクで声が拾えるなんて、たいしたものである。

 だがこのマイクの進歩には、弊害がある。聞こえすぎるのだ。

 巷で「歌がうまい」ともてはやされている歌手達を、私は素直に認めることができない。彼等はなぜかマイクを口に近づけ、最初から最後までマイクと口の距離を一定に保ったまま歌うため、マイクを通して息継ぎが絶えず聞こえるのだ。
 私はこの息継ぎが耳障りでならない。

 息継ぎが曲の間(ま)とか雰囲気作りに一役買うこともあるだろう。また昔よりも曲調が複雑になったので、息継ぎをどこでするかが難しいというのも一因だろう。だがその息継ぎの苦しさを客に感じさせないのが、プロではあるまいか。今のままだと「私は声量不足です」と、客に向かって堂々と公言しているようなものである。

 徹底的なボイストレーニングをしないままプロ歌手としてデビューする人が増えた今、声量不足をマイクで隠す歌手は結構多い。だが今のマイクは、非常に性能がいい。その性能の良さをフル活用するためにも、より完璧に声量不足を隠すためにも、もっとマイクの使い方を工夫すべきなのではないのだろうかと思う。

 自分の商品である声を自在に操れず、マイクの扱いもうまくできない。それが本当にプロなのだろうか。

 のっけから話がかなりそれてしまった。
 何もこのコラムは、「今の歌手は下手くそや! 責任者出てこい!」とぼやく趣旨のものではない。ただ、マイクの使い方や発声の方法ひとつを取ってみても、出演者がプロ意識を持っているかいないかを判断できるということが言いたかったのだ。
 歌手だけではない。テレショップを見ていても、最近これらの問題を感じることが多くなった。

 前回まで紹介していた「ショップチャンネル」や、「QVC」という別の買い物専門チャンネルに登場する司会者たちの中にも、耳障りな息継ぎをする人が存在する。特に「QVC」は顕著だ。

 ショップチャンネルと比べると、QVCの方が紹介商品も司会者も庶民的である。また、あっけにとられてしまうようなとんでもない商品が登場してくる確率が高いのもQVC。ただセット全体の配色がアンバランスで、画面が見づらいと個人的には感じる。

 まぁそれはともかく、ピンマイクを付けている位置のせいもあるのだろうが、息継ぎがすべてマイクに入っている人が多いこと。中には、口を開けたまま息継ぎしている人も見受けられる。魚じゃあるまいし。
「今日は(はぁっ)素晴らしい(はぁっ)製品を(はぁっ)ご紹介しましょう」

 こんなトークが聞こえようものなら、私の耳は拒絶反応を起こす。そして、速攻で別の番組にチャンネルを変えてしまう。

 たとえ短期間でも「話す」ということを生業とするなら、ボイストレーニングを重ね、正しい発声方法や呼吸法を学んでから人前でしゃべるのが当然だ。それすらできていない人がテレビに出演するなんて、愚の骨頂。視聴者に対して、失礼である。

 その点、司会者として登場してくるベテラン芸能人たち、あちこちの番組を渡り歩いているプロショッパーたちのトークには、そんな聞き苦しさはない。息継ぎとため息・吐息をきちんと使い分け、駆使している。言葉がはっきりと、よどみなく耳に届く。

 オークローンマーケティング社の言葉を借りれば、「テレショップはエンターテイメント」なのだ。だからテレショップに出演される方は、自分の持ち分の中でプロであってほしい。本当のプロが作り出すテレショップは、まさにエンターテイメント。同時に視聴者側にも安心感が生まれるのだ。たとえ商品が眉唾ものであったとしても・・・。




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■ 今回の「テレショップなひとこと」
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その1

「それは料理じゃなく、えさって言うの」

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<「ひとこと」の解説>

テレショップ界のカリスマ、マーフィー岡田さんのひとことである。

テレショップ評論家の恩田氏曰く「実演販売人の北島三郎的存在」であるマーフィーさん。立て板に水のようなトークは、一見の価値ありである。

錆びた包丁でトマトを切る女性が登場。当然ぐちゃぐちゃにしか切れない。いかにも「料理なんてしたことな〜い」と豪語しそうな雰囲気の彼女、「何これ、この包丁、錆びてんじゃ〜ん」とのたまう。
そんな彼女の背後から登場するマーフィーさん、彼女が切ったぐちゃぐちゃのトマトを見て、こうおっしゃるのだ。
「それは料理とは言わないの。正確に言えば、えさって言うの」。

名言である。


テレショップワールド(恩田氏のHP)
http://www.onda-honpo.com/teleshop/



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その2

「ショボショボした目じゃなく、『キラッ』とした目でね」

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<「ひとこと」の解説>

サントリー「DHA&EPA+セサミンE」のテレショップ(30分版)に登場する、俳優・柴俊夫さんのひとことである。

このサントリーの健康食品シリーズのテレショップには、必ず有名人が登場する。「セサミンEプラス」ではスキーヤーの三浦雄一郎さん、そして「DHA&EPA+セサミンE」では柴さんである。

「この50代は、いいよね!」と言いながら精力的に仕事やスポーツをこなすシーンが紹介された後、このサプリメントを飲むようになってからの効用を述べる柴さん。その際に、このセリフをおっしゃるのである。

確かに、目が「キラッ」としてます。