「テレショップな日々」 バックナンバー

 

 

   

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ひーコラム  ☆★テレショップな日々★☆
                          発行日 2003/10/01
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Vol.004 無用の長物


 関西ローカル番組で、「買物検討使」という15分のテレショップ番組がある。関西テレビ系で月曜から金曜までの毎日、午前11:10から放送されているのだが、今年の2月にこの番組の収録風景を見学させてもらう機会があった。
 私の知り合いであるMr.Puchibanが「プチバン」という商品を紹介するために番組出演するということで、関係者という立場でもぐり込めたのである。

 申し上げておくが、サクラのおばちゃんとなってうれしそうに拍手していたわけではない。純粋な「見学」である。それにこの番組には、観客はいない。
 関係ないが、テレショップの観覧ってどこに申し込むのだろう。どういう基準で選抜されるのだろう。

 15分間という放送時間に登場するのは、4商品。だから、1商品の紹介時間は約3分。
 レギュラー司会者2人が司会進行・番組盛り上げ役を務められる。そして、商品ごとに違うデモンストレーター(商品紹介人)が登場してくる。メーカーの人間が商品紹介をする時もあるけれど、デモンストレーターまかせにしている所がほとんどである。

 ちなみにこの番組に登場してくるデモンストレーター、ほとんどが女性である。

 収録は週1度で、1週間分まとめ撮りされている。ということは、1日20商品の撮影を行わなければならない。現場スタッフは大忙しで、常に走り回っている。
 メーカーの人も商品を抱えて、控室とスタジオの間を往復している。

 控室では、デモンストレーターたちが本番に向けて練習に余念がない。メーカーの代理として商品を紹介するのである。それに、商品の数よりデモンストレーターの数の方が少ないので、自然と複数商品掛け持ちとなる。
 だからその面持ちは、真剣そのものである。
 
 化粧品紹介ともなると、このデモンストレーター自らが「実験台」となり実演する。だから化粧直しも大変である。
 この日は印鑑の紹介もあったけれど、本番できれいな印影が出るように、印鑑を押す練習もされていた。

 収録は基本的に放送日順に行われるので、金曜日・4商品目に放送される予定の「プチバン」の収録は、一番最後である。だからかなり待ち時間があった。
 待っている間には、メーカーの人やデモンストレーター以外にも、番組スタッフも一服しに控室に入ってくるし、製作会社のえらいさん達もやって来る。
 Mr.Puchibanは、そういう人達とべらべらしゃべっている。

「あ〜、また、あんなんを使うとるわ」

 控室のテレビを見ていた製作会社のえらいさんが、非難めいた声を出された。

 そのテレビには、収録風景が逐一映し出されている。その時映っていたのは、フリップを持った化粧品紹介中のデモンストレーターとメーカー担当者。そのフリップには、化粧品の成分が書かれていた。
 テレショップでは、おなじみのパターンである。

 不思議そうな顔をしていた私に、そのえらいさんはおっしゃった。

「テレショップで、しかも持ち時間が3分しかないのに、あんなフリップ、誰が見るねん。それも(フリップに書かれた字やグラフの)配色も悪い。ものすごう、見にくい。そう思わへんか?」

 言われてみて私は初めて、そのフリップをしげしげと見た。

 そうなのだ。
 それまで好奇心から収録風景をじっと見ていた私だけれど、フリップに書かれている内容なんて、ちっとも見てはいなかった。家ででもそうだ。
 真剣にあのフリップを見ている人なんて、ほとんどいない。気休めなのだ。

 それにじっとテレビの前でテレショップを見ているとも限らない。何かをしながら「ちらちらと」見ているという視聴者の方が、きっと多いはずだ。
 15分くらいの枠があるなら有効だろうけど、たかが3分である。

 読みにくい、見にくいフリップなど、テレショップには無用の長物なのだ。

 無駄を廃した紹介が視聴者を引きつけ、一種の様式美さえ産む。それがテレショップの真骨頂なのだ。



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■ 今回の「テレショップなひとこと」
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「めんたまが、飛び出るくらい、高いですよね〜」

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<「ひとこと」の解説>

テレショップ業界ではおなじみ、トーカ堂の北さんが時々使うフレーズである。

先日見たバージョンは、中条きよしさんと白石まるみさんがゲストの回。特に中条さんはトーカ堂のテレショップにしか出演しない。どうも北さんとは仲良しのようである。

この日も、トーカ堂では毎度おなじみタヒチ産の「黒真珠」が登場した。いつもはバロック珠なのに、今回はラウンド珠だというのが売りである。
私は宝石売り場などはうろつかないのでよく知らないのだが、この黒真珠というのは結構高価だそうで。

そんな説明の時、北さんがこのセリフを吐くのである。

中条さんはそれを聞いて、「『めんたま』って・・・」とか言いながら、ぐふぐふと笑うのである。

中条さんの笑いは、黒真珠販売促進とは全く違う次元である。北さんのテレショップは、こういうのが随所に出てくるので、おもしろい。