「テレショップな日々」 バックナンバー

 

 

   

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ひーコラム  ☆★テレショップな日々★☆
                          発行日 2003/08/15
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Vol.002 芸能人のプライド


 テレショップには、様々な芸能人が司会者として出演されている。

 現在は「キューサイの青汁」のコメンテーターとしてよくお見かけするけど、以前はちょくちょく「トーカ堂テレショップ」に出演していた、ジュディ・オングさん。
 トーカ堂といえば、「もう、ぎりぎりっす」と申し訳なさそうに言う北さんの強烈なキャラで、あまりにも有名である。

 北さんのテレショップでは、タヒチ産の黒真珠、ニューヨークやアントワープで買い付けてきたというダイヤモンドなど、宝飾品も多数登場する。
 その中ではずせないのが、北さんが全国の養殖場を回ってかき集めてきたという、真珠である。
 ジュディさんは、毎回この真珠のネックレスを絶賛していたのである。

「北さんが持ってくる真珠のネックレスって、いつも連相(れんそう)が素晴らしいの!」

 ジュディさんが「連相」という言葉を使うまで、私はこういう言葉が存在することも、もちろん意味も知らなかった。
 ちなみに「連相」というのは1本1本の真珠のネックレスの個性のことで、真珠のネックレスの善し悪しはこの「連相」で決まるとのことだ。
 テレショップっていうのは、勉強にもなる。

 テレショップにはある程度台本があるんだろうけれど、彼女の言葉は台本ではなく、彼女の知識がそのままセリフとして発せられていたような気がする。

 主に「ダイレクトテレショップ」でよく見かける、林与一さん。ベテラン俳優なのに布団だろうが掃除機だろうが、どんな商品が出てきても動じない。
 でも何より、喪服の紹介の時が一番雰囲気に合っている。着物を紹介しているときの姿勢や態度が、とてもりりしいのである。
 それに、若い無名のタレントさんとの共演でも上手に合わせておられる。さすがプロ。

 ジュディさんの「連相」にしろ、林さんの喪服にせよ、彼等が普段どんな環境でお仕事をしているか、どんな生活を送っているのかが垣間見えておもしろい。

 そんな芸能人司会者の中で私が最近はまっているのが、若林豪さんと岡田茉莉子さんである。

 若林さんの真骨頂は、「引いて、ためて、はきだす演技」である。
 西川峰子さんと共演されていた「オレンジグローショー」は、最高だったな。

 ちなみにこの「オレンジグロー」というのは、アメリカ製の洗剤。オレンジオイルが配合されていて、汚れの種類によって使い分ければどんな汚れもたちどころに落とすという優れもの・・・らしい。

 実はこれ、私は「ショップチャンネル」という番組を通じて買ったことがある。汚れ落ちは「とりあえず、そこそこ、こんなもん」である。
 それはともかくこの洗剤、すんごいオレンジの香りがする。換気をきちんとしないと「さわやか」を通り越して、ちょっと頭がくらくらする。

 オレンジグローショーでの商品ナビゲータは、久寿米木さん。布団圧縮袋の流ちょうな紹介でおなじみの方である。
 彼はこの洗剤を使って、家中のありとあらゆる汚れをどんどん落としていく。

 西川さんは「へぇ〜」とか「そんなのも落ちちゃうの」とか久寿米木さんの言葉に相づちを入れたりする。
 でも若林さんは、よけいなことは一切言わない。西川さんの横で半ば笑顔、半ばあきれ顔という、誠に微妙な顔つきで久寿米木さんの手際を見守っている。

 汚れが落ちた物がある程度たまったところで、若林さんは真剣に首を振りながらこう言うのだ。

「いや、これはすごいわ」

 このセリフを冷静に聞けば、久寿米木さんが繰り広げるワンマンショーがすごいのか、洗剤の威力がすごいのか、釈然としない。
 けれど、あまりの絶妙なタイミングで発せられる若林さんの言葉は、マジックのように視聴者の心に響く。使ってみたいと思わせる。

 1本1万円の腕時計を紹介されていた時も、商品ナビが「最近では数本で1万円の商品もございますが・・・」と申し訳なさそうに言うと、若林さんは「いや、今はいい物を長く使う時代ですよ」と力強くおっしゃる。

 1本1万円の腕時計が「いい物」なのかはこれまた釈然とはしないが、若林さんの発する言葉には、なぜかすごく説得力を感じる。

 岡田さんの魅力はずばり、「女優」である。

 テレショップに出演する芸能人は、ご自分が「歌手である」とか「女優である」という態度は見せない。したがって、視聴者が芸能人の本職を知らなければ、普段はどういう仕事を彼等がしているのかはわからない。
 だけど岡田さんに限っては違う。

 以前、岡田さんが羽布団(掛け布団・敷き布団・枕・カバーのセットでシングル1万円ってやつね)を紹介していた時、彼女は不思議そうな顔つきでこうのたまわれたのだ。

「羽布団、って、どうして、気持ち、いいの、かしらねぇ〜?」

 音声で表現できないのが残念なのだが、彼女の雰囲気・言葉のイントネーションは、まさに「女優」そのものなのである。「私は女優よ!」というオーラがばんばん出ているのである。

 岡田さんは、テレショップという「銀幕」の中で、堂々と「女優」しておられるのである。
 すごい、すごすぎる。

 商品を紹介しているようで、実はご自分を売り込んでいる芸能人司会者達。彼等のプライドの高さ、恐るべしである。




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■ 今回の「テレショップなひとこと」
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「オレのお腹も、全国デビューかぁ」
「あんたの場合は、『デビュー』じゃなくて、『デブ』でしょ」

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<「ひとこと」の解説>

ダイエットジュース「ハリウッド48時間ミラクルダイエット」のPR番組(30分)の中で展開される「小芝居」の中のセリフである。

太ってしまったご主人をダイエットさせたい奥さん。半ば強引にご主人の「2日間ジュース生活」をスタートさせるのだが、スタート前にビデオカメラでご主人のお腹周りを撮影する。

その後、寝る前に夫婦がこの会話をするのである。

この小芝居、なかなかわざとらしい。テレショップではありがちなのだが、このセリフには、私はまりました。まんまとしてやられました。